色々

色々書きます

ワードスナイパー改変ルールまとめ

この記事は、数学デー Advent Calendar 2019 の2日目の記事です。

1日目の記事は「数学デーについて」です。

 

そこのあなた!

「か」で始まる「植物」と言えば、なんでしょう?
――そうですね、カキ、カキツバタカタバミカントウタンポポ、色々あるでしょう。

では次。
「と」で始まる「乗り物」は?

――特急電車、トヨタ、……あ、トーマスもありですね!

 

……と、このように、「平仮名」と「お題」を与えられ、それに合う単語をなるべく早く答えるゲームがあります。

その名も、ワードスナイパー! 

よこはまのボードゲーム屋さんリゴレ様が開発したアナログゲームです。

数学デーは数学好きが集まるイベントですが、なぜか頻繁にアナログゲームが遊ばれます。その中でも、ワードスナイパーは特によく遊ばれます。

しかし、そのまま遊んでいるわけではありません。数学デーでは、ワードスナイパーのルールを変えた「改造版ワードスナイパー」が大流行しているのです。 

ということで、この記事ではこれまでに誕生したワードスナイパーの改変ルールをまとめて紹介したいと思います。

 

 

§1.基本ルール

まずは、通常のルールを紹介します。ワードスナイパーは、次のようなカードを使うゲームです。

f:id:kigurox:20191202204530j:plain

片面に「平仮名」、もう片面に「お題」が書かれたカードです。これを山にして、上から一枚ずつめくります。

f:id:kigurox:20191202205103j:plain

このようにすると、ひとつの「平仮名」と「お題」の組ができます。そして、「お題」を満たし、「平仮名」を頭文字とするような単語を答える――これが、ワードスナイパーのルールです。写真の場合は、「『す』で始まる『黒いもの』」を答えればいいってことですね*1

詳しくは、リゴレさんのワードスナイパー特設ページをご覧ください。

 

2018年11月25日に、数学デーにこのゲームが導入されました。

導入後、しばらくはこの基本ルールだけで遊んでいたのですが、あるとき――本当にあるとき、誰かがふと――改変ルールを提案しました。

 

§2.数学用語限定ワードスナイパー

詳細な記録は残していないのでわかりませんが、おそらくこれが初めて誕生した改変ルールだと思います。

その名も、「数学用語限定ワードスナイパー」。

名前の通り、「お題」を無視し、出された「平仮名」を頭文字にする数学用語を次々答えていくゲームです。

「そ」なら「素数」、「い」なら「位相」といった具合ですね。

そしておそらく、この中で誰かが、数学者の名前を言ったのでしょう。「が行」で「ガウス」とか、「ゆ」で「ユークリッド」とか、そんなところだと思います。

その結果誕生したのが、次のルールです。

 

§3.数学者限定ワードスナイパー

数学用語縛りをやったので、今度は数学者縛りです。

「め」なら「メビウス」、「こ」なら「コーシー」、「わ」なら「ワイエルシュトラス」といった具合に、平仮名によってはマニアックな数学者の名前が出てきました。

うろ覚えですが、たしかこれを初めてやったとき、素数大富豪考案者にしてガチ数学徒のせきゅーんさんがいらっしゃり、一般的にはマイナーな数学者の名前を次々出していった記憶があります。

 

今にして思えば、ここまでは平和でした。

 

我々が本当におかしくなっていったのは、ここからです。

 

§4.数学用語限定ワードスナイパー「お題編」

誰が思いついたか、今となっては全くわかりません。

でも、確かに誰かが言ったのです。

「数学用語限定って、『お題』の方でもできないかな?」

と――。

 

いやいやそんなことできないでしょう、ときっと誰もが思いました。だって「お題」は、「とがったもの」とか「キッチン用品」とかなのですから。

数学で「とがったもの」とか「キッチン用品」とかありますか??

 

しかし、ここは数学デー。一見無理そうなものでも、試しにやってみる性根の人達が集まっています。

なので、やってみました。

そしたら、できました。

なんと我々は、「お題」に合う数学用語をすべて見つけることができたのです。

「とがったもの」は「円錐」、「キッチン用品」は「メンガーのスポンジ」。

「冷たいもの」は「こうり(公理・氷)」、「都道府県」は「京都賞」、「鳥」は「鳩ノ巣原理」、「植物」は「木」*2

ストレートなものもあれば大喜利的なものもありましたが、とにかく、我々は「お題」をすべて攻略できたのです。

そのとき、我々は思いました。

このゲームは、まだまだ深化する、と。

 

そして我々は、深淵へと潜っていくことになったのです。

(なお、これ以降のルールタイトルは、すべて語尾に「ワードスナイパー」をつけると語呂が良くなります)

 

§5.「含まれる」または「終わる」

ここからは、時系列とは無関係に、私が思い出した順に書いていきます。

このルールは、比較的まともです。

与えられた「平仮名」が、単語のどこかに含まれればOK、というルールです。この派生として、「その文字で終わる単語限定」もありました。

たとえば、「と」を含む「冷たいもの」で、「冷凍食品(れいうしょくひん)」とかですね。

 

§6.文字数指定

これもわかりやすいですね。トランプもしくはサイコロを一緒に使います。カードをめくると同時にトランプをめくるもしくはサイコロを振り、出た数を文字数とするゲームです。

サイコロは6までしかありませんが、トランプだと13まであるので、結構大変です。

このルールでは、「お題」と「平仮名」を使う場合もあれば、片方だけを使う場合もあります。

今まで出た中で最高難度だった出題は、「お題」が「四字熟語」で文字数が「1」。そう、「一文字の四字熟語を答えよ」という出題で、当然誰も答えられませんでした。

(ちなみにこれは、のちになって「無理難題」という解が与えられました)

 

§7.存在しない言葉(わっぱいぬゲーム)

存在する言葉ばかり使っていたので、やりたくなったのは「存在しない言葉限定」ワードスナイパーです。

ただし、適当なことを言ってはいけません。ちゃんとお題に沿った(と感じる)言葉を言う必要があります。

何が出たかは、今となっては覚えていません。まあ、とにかく色々なものが出たのでしょう。

 

ちなみに、「存在しない言葉限定」はワードスナイパーだけでなく、ワードバスケットというよく似たタイトルのゲームでもよく行われました。

これは平仮名が書かれたカードを使ってしりとりをするゲームで、本来は存在する言葉だけでやるゲームですが(当然です)、たまに存在しない言葉でやっていました。

そんな中で登場した単語が、「わっぱいぬ」。

たぶん、犬です。

このおかげで、「存在しない言葉限定ワードスナイパー」でも、チャンスさえあれば「わっぱ犬」がコールされることになりました。

わっぱ犬はいまでも、ワードスナイパーや他の言葉ゲームをやるときにしばしば登場します。*3

 

 

§8.人名限定(湯島抜け作ゲーム)

これも比較的まともなルールです。カードを二枚めくり、二つの「平仮名」をイニシャルに持つような実在の人名を答えるゲームです。

「な」と「そ」で「夏目漱石」とか、「ちゃ、ちゅ、ちょ」と「は」で「猪八戒」とかですね*4

 

ところで、ワードスナイパーはいつもスラスラと答えが出てくるわけではありません。「誰も答えられずに場が硬直する瞬間」が、何度も発生します。

人名限定ワードスナイパーでも、それは起こりました。

「ゆ」と「ぬ」です。

「ゆ」はまだしも、「ぬ」をイニシャルに持つような名前が、なかなか思いつきませんでした。

「『ゆ』の付く苗字と言えば『湯島』かなぁ」
「でも『ぬ』が付く名前って何?」
「うーん……『抜け作』とか」
「え、つまり……湯島抜け作?」

こうして誕生したのが、謎の人物「湯島抜け作」。

しかしこの名前が出たとき、ある人物*5が言いました。

 

「湯島抜け作? 知ってる知ってる。日本人で初めてアメリカ大陸を横断した人でしょ
「名前の割にすごいことやってんな抜け作」

 

この会話がきっかけとなり、このルールは「湯島抜け作ゲーム」と呼ばれるようになりました。

存在する人名を答えるゲームが、存在しない人物の名前で呼ばれているのは、だいぶ愉快だと思うのですがどうでしょう?

 

§9.用語限定ワードスナイパー

既に紹介した通り、我々は「数学用語限定ワードスナイパー」からルールを改変し始めたのですが、のちに他の用語限定でもやりました。基本的には、何でもできるのです。

§9.1.四字熟語限定

「お題」でも「平仮名」でも可能ですが、めくって出てきたものに合う四字熟語を答えるゲームです。平仮名の方が難易度は低いでしょう。

お題では、「白いもの」なら「顔面蒼白」、「動作を表す言葉」なら「右往左往」といった具合です。「なんとなくお題に沿う四字熟語」を答えられればOK。

ちなみに、ワードスナイパーのお題には「四字熟語」があります。四字熟語限定で四字熟語……つまり、なんでもありですね。ここだけ反射神経ゲームになります。

§9.2.エモい言葉限定

これも同様に、エモいとされる言葉を答えます。エモいかどうかの判断は、参加者の空気で決まります。うまく空気を読みましょう。

「鳥」なら「極楽鳥」、「目に見えないもの」なら「愛」とかでしょうか?

§9.3.物語のタイトル限定

同様に、物語のタイトルでもできます。「歴史人物」なら「竜馬がゆく」、「黄色いもの」なら「檸檬」など。「お題」でも「平仮名」でも可能です。

ちなみに、「物語のタイトル」もワードスナイパーのお題にあります。なんでもありにしても良いですし、ちょっとひねって、作中作のタイトルやパロディのタイトルを答えると面白いかもしれません。つまり、「物語のタイトルが付けられた物語のタイトルを答える」ということですね。

§9.4.新聞紙用語限定

どうしてこれが誕生したのかを説明するのはとても難しいのですが、全く別の言葉ゲームをやっているときに、回答が「しんぶんし」になったことがありました。

ずっと同じ人が「しんぶんし」と答え続けていたがために、なんとなくそれがネタとして定着。やがて、他のゲームへ飛び火しました。

そうして誕生したのが、新聞紙用語限定ワードスナイパーです。

ただのおバカゲーです。

「電化製品」なら「テレビ欄」、「職業」なら「新聞記者」、「身に付けるもの」なら「新聞紙で折った兜」といった具合ですね。

これも、お題だけでなく平仮名でもできます。

「ゆ」なら「夕刊」、「しゃ、しゅ、しょ」なら「社長限定新聞紙」、「こ」なら「高級な新聞紙」などが出ました。

もう一度言いますがただのおバカゲーです。考えたら負けです。

 

§10.「お題」×2

これは割と初期に発生したものだったと記憶しています。「お題」を二枚めくり、その両方を満たすものを答える、というルールです。

例えば「学校で使うもの」と「黄色いもの」をめくったら、「通学帽」とか。
「四角いもの」と「スイーツ」だったら、「ティラミス」とか。

私が感動した回答は、「楽器」と「乗り物」。

どう考えても全くの別物ですが、実はそのものずばりの回答があります。

そうです、ヤマハです!

楽器も乗り物も手掛ける超有名企業を答えるなんて、滅茶苦茶センスいいですよね。

 

§11.お題決め

「平仮名」を三枚めくり、その三枚すべてに当てはまる「お題」と「回答」を答える、というルールです。

ここでいう「お題」は、ワードスナイパーに出てくるものでなくても構いません。自分でオリジナルのお題を考えてよいです。

例えば、めくったのが「た」「へ」「い」だったとしましょう。

そしたら、こう答えます。

「お題『十二支』、『たつ』『へび』『いのしし』」

初めは難しいかなと思いましたが、やってみると絶妙な難易度で、盛り上がりました。

みんな割と、「二枚までは思いつくけど、残り一枚がなかなか思いつかない……」と悩んでいる間に、他の人に同じお題で取られる、ということが何度も起こりました。

お題は自由に決められるのに、お題が被るのは何とも不思議でしたね。

 

§12.お題当て

これはチーム戦で行うルールで、「出題チーム」と「解答チーム」に分かれて行います。

簡単に言うと、出題チームが決めた「お題」を当てられれば解答チームの勝ち、そうでなければ出題チームの勝ち、というゲームです。

まず出題チームが「お題」を決めます。そしてその「お題」に沿って、出た「平仮名」を頭文字にする単語を答えていきます。解答チームは、出題チームのプレイを見て、「お題」が何かを当てるのです。

なお、解答チームはプレイに参加することができます。「お題」が何かわからない状態で、「なんとなくこれかな?」と思うものを答えていき、少しずつ「お題」に近付いていくのです。

我々が実際にやったときは、お題が「お金で買えないもの」でした。

私は解答チームだったのですが、素直に難しかったです。最初の回答が「愛」、次の回答が「コートジボワール」だったので、終盤まで全く共通点が見つけ出せませんでした。

ちなみに、途中で「お題」が分かった私は、「ひ」に対して「ひでんマシン」と答えました。うまくないですか??

 

§13.「場合による」

ワードスナイパーをやっていると、「場合によってはそうだけど……」となってピタリ賞とならないことがあります。

ならいっそのこと「場合によってそうなる言葉」限定のワードスナイパーをやろう、となったのがこのルールです。

例えば「み」で始まる「防災用品」なら、「水」(水は場合によって防災用品だったりそうじゃなかったりする)とか。

「あ」で始まる「調味料」なら、「愛」(愛は場合によって調味料だったりそうじゃなかったりする)とか。

特に盛り上がったのは、「し」で始まる「黄色いもの」。

この答えは、「信号機」

たしかに場合によって黄色い……!!

なおこのルールは「平仮名」と「お題」を使うとかなり難しいので、「お題」だけでやるのがオススメです。

 

§14.「ちょっと違う」

これもまたワードスナイパーあるあるなのですが、ワードスナイパーをやっていると「だいたい合ってるけどちょっと違うなぁ」となることが多々あります。

そこで始まったのが「ちょっと違う言葉」限定のワードスナイパーです。

そのものズバリを言ってはいけず、ちょっと違うものを言わなくてはなりません。

「う」で始まる「動作を表す言葉」は「動かない」。

「ら」で始まる「丸いもの」は「ラグビーボール」。

「へ」で始まる「人間の体の一部」は「へその緒」。

なんとなくだいたい合ってるけどちょっと違うなぁ、という点を狙うのがポイントです。

こちらも「平仮名」と「お題」を使うとかなり難しいので、「お題」だけでやるのがオススメです。

 

§15.トポロメモリー

トポロメモリーというボードゲームがあります。「トポロジー」という数学の分野から着想を得て作られたゲームです。

ルールはこちら。

topolomemory.banso.tokyo

 

数学デーにこのカードが持ち込まれた当日。 

これはワードスナイパーと組み合わせられるんじゃないか?

と誰かが言い出しました。

なので、やってみました。

できました。

 

トポロメモリーのカードには、様々な絵や記号、文字が書かれています。

ワードスナイパーの「お題」と、トポロメモリーのイラストを見て、「お題とイラストから連想される何か」もしくは「イラストとトポロジカルに同じでお題に沿うもの」を答えていくのです。

例えばワードスナイパーが「細長いもの」、トポロメモリーが「コーヒーカップ」だったとしましょう。

この場合、コーヒーカップと同相な細長いもの……「ちくわ」などが正解になります。

見た目ではなく、文字で同相になっても構いません。

ワードスナイパーが「和食」、トポロメモリーが「:D」だったとします。

このとき、文字が「:D」と同相な「和食」……「のリ」などが正解になります(「の」は丸がひとつなので「D」と同相、「リ」は二つの部分に分かれているので「:」と同相です)。

 

自分が一生懸命トポロジカルなものを考えている間に、他の人に連想ネタで取られる……ということが、とてもよくあります。どっちを優先的に考えるかが、勝負の決め手になりそうでした。

 

§16.何が出ても「新聞紙」って言えばいい

これが最も意味がわからないルールです。

我々はワードスナイパーをやり過ぎました。

やり過ぎたため、「ワードスナイパーあるある」が身に沁みついてしまいました。

そのため、「もう何でもいいから何か単語を言って、『ワードスナイパーっぽい演技』をする遊び」にまで行きついてしまいました。

そして、こうなりました。

彼らが何をやっているか、わかるでしょうか?

私はわかりません。

まあ、でも、楽しかったです。

 

 

§ 終わりに

以上、16個のルールを紹介しました。

実際にはこれ以外にも色んなルールが誕生しましたが、とても書ききれないのでここまでとしましょう。

これほどまで遊びつくせるゲーム「ワードスナイパー」を作ってくださったリゴレ様には、感謝してもしきれません。

この場を借りてお礼申し上げるとともに、宣伝いたします。皆さんもぜひ、リゴレ様の「ワードスナイパー」を買いましょう!

rigoler.wixsite.com

(ちなみに私はこれまで一度もリゴレ様に足を運んだことがありませんが、近日中に訪れる予定です)

*1:「煤(すす)」とか。

*2:グラフ理論という分野で、ひとつながりでループのないグラフを「木」と呼ぶ。

*3:もう一つ印象深い言葉は「テナガザル養成所」です。どんな養成所なんだ……。

*4:私はこのとき知ったのですが、猪八戒は「猪」が苗字で「八戒」が名前だそうです。

*5:私です。